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燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや

2022年5月7日 09時30分

 

 5月5日は立夏。二十四節気の一つで、夏の兆しが見え、夏の気配が始まる頃を意味します。確かにここ数日、日中は汗ばむような陽気ですね。そんな中、勉強に部活動に、皆さん頑張っていることと思います。

 

 ところで、数日前にこの「内子高校だより」に掲載したように、今、ツバメが本館玄関裏の天井に巣を作っています。見たところ、前回お知らせしたときよりも、立派な巣になっています。

 ツバメは北半球に広く生息し、春から夏にかけてやってくる渡り鳥で、民家や商店の軒先など建物に巣を作り、子育てをします。昔から、ツバメが家に巣を作ると縁起がよいとされているようです。

 ツバメの巣作りについては、何もない場所に一から巣を作るパターンと、古い巣や壊れかけている巣を作り直して使うパターンがあるようです。リフォームだと数日で終わってしまうこともありますが、一から作る場合は二週間から一か月もかかってしまうこともあると言われています。

 しかし、現在、住宅環境の変化等によって、飛来するツバメの数が減少しています。40年前の半分以下に減少しているという調査結果もあるようです。

 内子高校で巣作りをしたツバメを、今後も温かく見守っていきたいですね。

 

 話は変わりますが、ツバメという語を含んだ「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」という故事成語を知っていますか。

 これは中国の歴史書に由来する言葉で、「えんじゃく いずくんぞ こうこくの こころざしを しらんや」と読みます(「いずくんぞ」は歴史的仮名遣いだと「いづくんぞ」)。

 「燕雀」とは、文字どおりツバメとスズメのことで小さな鳥を表し、「鴻鵠」とは、オオトリとオオハクチョウのこと(諸説あり)で大きな鳥の象徴です。「安んぞ~んや」は漢文の反語形の句法で、「どうして~か、いや~ない」と解釈できます。

 つまり、「小さな鳥に、どうして大きな鳥の心が理解できようか、いや理解できない」、転じて「志を高く持つ者の考えは、そうでない者には理解できない」という意味の言葉です。さらに、人は自分なりの価値観にこだわり、それを理解できない者を否定したり嘲笑したりする…そうした視野の狭さを揶揄(やゆ)する言葉としても捉えられているようです。

  これからも内子高生の皆さんが、広い視野と大きな志を持ち、自身の可能性を信じて、鴻鵠のごとく羽ばたき成長することを応援しています。

 一方、小さな燕も雀も頑張っています。燕や雀が懸命に生を営んでいる姿も慈しみ、応援しましょう!